夫が560万円の借金をしていました。
借金の原因はギャンブルです。
夫の場合、競艇です。
法テラスを通して弁護士事務所に行き、個人再生の準備を始めました。
借金返済のために用意したお金、約160万円が口座から消え、夫が行方をくらましました。
翌日の夜、
警察から、夫が見つかったという連絡がありました。
私は警察署に夫を引き取りに行き、夫と一緒に家に帰りました。
口座から消えた160万円について、夫から話を聞きました。
ギャンブルで使い、お金は残っていないということでした。
ギャンブルでお金を使い込み、財産が減ってしまったことを、弁護士に報告しに行きました。
裁判所には、すでに資料が回っています。
裁判所にも、財産を使い込んだことを報告しなくてはなりません。
裁判所の印象が悪くなり、個人再生がスムーズにいかなくなる可能性がある、
と言われました。
「間違いなく、印象が悪いです。」
「あまり約束を守っていただけないと、私が依頼をお受けするのも難しくなってしまいます。」
「もうしないでくださいね。」
弁護士は淡々と静かに言いました。
私は弁護士事務所を後にする時、
お世話をおかけします、
と頭を下げました。
弁護士の表情が柔らかくなったのを見て、少しほっとしたのを覚えています。
私は、夫のために、何度、頭を下げたことでしょう。
弁護士もそう。
夫が行方不明になったときも、
警察官、お世話になった人たち、夫の両親に、
「すみません。」
「ありがとうございます。」
何度も頭を下げました。
夫は決まって、トラブルを起こしてバレた後は、優しい表情で、私の話を素直に聞いてくれます。
だけど、
ことがおさまり、しばらくすると・・・、
無表情になり、態度がぞんざいになっていきます。
夫が穏やかで優しくなるのは、私に事後処理をさせるためだけなのかな?
私に、自分が浪費したお金を払わせるためだけなのかな?
・・・小さな不安が、私の中で芽生えはじめました。
「こいつは、神妙な顔をしている時は、最初だけで、すぐに調子に乗るから安心できない。」
夫のお父さんが、そう言っていたことがありました。
また、そんなこと言って~、
そう思っていたけれど、もしかしたら本当に・・・?
小さな不安が芽生えても、この時の私はまだ、
・・・夫を信頼していました。
信頼したかったのです。
そんなことはない、ちゃんと反省しているから、話を聞いてくれるし、
人だから、失敗を繰り返してしまうこともある。
私が悪いのかもしれない。
私のやり方が悪いから、夫が失敗をしてしまうのかもしれない。
もっと優しくした方がいいのかな。
もっと厳しくした方がいいのかな。
夫の優しい穏やかな表情や、もうしない、
という言葉を信じようとしていました。
次こそは大丈夫!
そう、願っていました。
個人再生の申し立ての準備に入ってから、夫がお金を使い込んだことにより、
裁判所の判断で、借金の返済額が増える可能性が出てきました。
弁護士からの連絡を待ちます。