幼い子供二人は、義理の母が預かってくれました。
私と夫と二人で弁護士事務所に向かいました。
人生初の弁護士事務所訪問でした。
私が今まで幸せだったということでしょうか。
40代半ばにして、人生初ということは、弁護士に頼らなきゃならないようなことを、今まで経験しなかったということですから・・・。
大人になり、めったなことでは緊張をしなくなった私ですが、
・・・緊張をしていました。
ずっとそわそわしていたので、片道1時間半のちょっとしたドライブも、それほど長くは感じませんでした。
有料パーキングに車を停めて、少し歩き、
小さなビルの、狭いエレベーターに乗り込みました。
飾り気のない無機質な感じのビルとエレベーターに、ますます緊張感が高まりました。
弁護士事務所に入り、奥に案内され、簡素なテーブルを挟み、夫と並んで椅子に腰かけました。
壁一面に並ぶ法律関係の本が気になり、弁護士が現れるまで、本の背表紙をあちこち視線を飛ばしながら読んでいました。
緊張のためか、ほとんど頭には入ってこなかったけれど・・・。
白髪が目立つけれど、私より少し年上くらいに見える細身の弁護士が現れました。
静かに淡々と話をする弁護士でした。
感情の波がおそろしくフラットで、弁護士とはこれくらい淡々としていないとできないものなのかと思いました。
担当した弁護士がたまたまそうだったのでしょうか・・・。
弁護士だって人です。
いろいろな人がいるでしょうから。
担当の弁護士に会い、
ろうそくに、ぽっと炎が灯ったような安心感を得て、ホッとしたことを覚えています。